大腸炎/大腸がん

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私たちの大腸は、消化された食物の水分を吸収し、最終的な便の形成と排出を行う重要な器官です。大腸に炎症が起きる「大腸炎」は、お腹の痛みや下痢、血便などを引き起こすこともあります。また、長期間の炎症が大腸がんのリスクを高めることにつながるケースもあります。ここでは、大腸炎と大腸がんについて、わかりやすく解説します。

大腸炎とは?

大腸炎とは?

大腸炎とは、大腸の内側の粘膜に炎症が生じる状態を指します。代表的なものに、感染性の大腸炎や虚血性大腸炎、そして慢性的に炎症が続く「潰瘍性大腸炎」などがあります。

感染性の大腸炎は、細菌やウイルスが原因で起こる腸炎になります。食中毒や腸管出血性大腸菌感染などがその代表例です。また、虚血性大腸炎は大腸の血流が低下することで粘膜が傷つく病気ですが、特に高齢者に多いとされます。

虚血性大腸炎では、突然の腹痛に続いて下痢や血便が起こります。これらの炎症が続くと、粘膜が傷つきびらん・潰瘍が形成される場合もあります。

特に潰瘍性大腸炎は、厚生労働省が指定する難病でもあり、直腸から大腸全体に炎症を引き起こし、症状のある「活動期」と症状が落ち着いている「寛解期」を繰り返すのが特徴です。潰瘍性大腸炎の原因は明確ではありませんが、免疫反応の異常や腸内細菌の乱れ、遺伝的要因などが関連すると考えられています。

大腸炎・大腸がんの症状

大腸炎では、腹痛や下痢、血便や粘液便(血液と粘液が混ざった便)がみられます。炎症が強い場合には発熱や体重減少を伴うこともあります。炎症が慢性化すると生活に支障が出ることもあり、症状のコントロールが治療の重要な目標となります。

一方、大腸がんは初期には症状が出にくいことが多いものの、進行すると便潜血(便に血が混じる)、便通の変化、体重減少、腹痛などが現れることがあります。また、長期間の炎症が続く場合には、炎症性腸疾患が大腸がん発症のリスクを高めることが知られています。

なぜ起こるのか?原因とリスク要因

感染性大腸炎の原因は、細菌やウイルスなどの病原体によるものが多く、食事や衛生環境、旅行などが誘因となることがあります。虚血性大腸炎は、高血圧や糖尿病、脂質異常などによる血管の動脈硬化や脱水状態が背景にあるものが多くみられます。
潰瘍性大腸炎のように慢性の炎症を引き起こすタイプは、免疫系の異常や腸内環境の乱れなど、複雑な要因が絡むと考えられています。

大腸がんの主なリスク要因には、加齢(一般には50歳以上)、食生活の欧米化や高脂肪食、喫煙、肥満、家族歴などが挙げられます。また、炎症性腸疾患のような慢性的な炎症が長年続いた場合には、腸粘膜の細胞変異を促すことがあり、大腸がんリスクが高くなることが知られています。

検査方法

大腸炎や大腸がんの診断にはいくつかの検査があります。一般的にはまず問診と身体診察を行い、血液検査や便検査で炎症や貧血の有無、便潜血反応を調べます。

また、最も重要な検査の一つが大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)です。内視鏡を用いて直接大腸の粘膜を観察することで、炎症の程度やポリープ・がんの有無を確認し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。

治療法について

大腸炎の治療は、原因や病型によって異なります。感染性の場合は、十分な休養と水分補給が基本となり、病原体によっては抗菌薬が用いられることもあります。虚血性大腸炎では、血流を改善する治療や基礎疾患の管理が重要です。

潰瘍性大腸炎では、炎症を抑える薬剤療法が中心となります。5-アミノサリチル酸製剤や免疫抑制剤、症状に応じてステロイド薬や分子標的薬などが用いられ、症状の落ち着いた時期(寛解期)を長く保つことが治療の目的です。重症例では入院治療や外科的治療(手術)が必要になることがあります。

大腸がんの治療は、がんの進行度によって異なりますが、早期のがんでは内視鏡的切除が可能な場合もあります。進行がんでは手術、化学療法、放射線療法などを組み合わせた治療が行われます。

予防と日常生活のポイント

大腸炎や大腸がんの予防には、日常生活の見直しが有効です。バランスの良い食事、食物繊維の摂取、禁煙、適度な運動、過度な飲酒の制限などが推奨されます。炎症性腸疾患の方は、定期的な内視鏡検査を受けることで、炎症の状態を把握し、ポリープやがんを早期に発見・治療することができます。このような定期的なチェックが、大腸がんの予防・早期治療につながります。

まとめ

まとめ

大腸炎や大腸がんは、初期には症状があいまいなこともありますが、放置せずに早めに検査を受けることが大切です。特に血便、腹痛が続く、体重減少がみられる場合は、医療機関での内視鏡検査を受けましょう。定期的な検査は、炎症性疾患の管理と早期がん発見の両方に役立ちます。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

院長 池田 篤紀

執筆者

池田クリニック

院長池田 篤紀

資格・所属学会

  • 医師、医学博士
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医
  • 日本肝臓学会 肝臓専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医

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