執筆者
池田クリニック
院長池田 篤紀
資格・所属学会
- 医師、医学博士
- 日本医師会認定産業医
- 日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
- 日本消化器病学会 消化器病専門医
- 日本肝臓学会 肝臓専門医
- 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
意図しない体重減少は、健康への大切なサインであることがあります。特に、食事量が変わっていないのに体重が減る場合や、短期間で著しい体重の変化がある場合は、何らかの病気が背景にある可能性があるため注意が必要です。
今回は、「体重が減っている」という症状について、原因や検査、治療、受診の目安まで分かりやすく解説します。
「体重が減っている」とは、本人が意図せずに体重が減少している状態のことを指します。一般的には、短期間に体重が2〜3kg以上減少する場合や、半年で5%以上の体重減少がある場合には、医学的に注意が必要なサインと考えられています。
このような体重減少は、エネルギー消費が増えた状態、食事量の減少、あるいは体内で栄養素が十分に吸収できなくなるような病気が原因となることがあります。
体重が減っている方には、体重以外にも様々な変化がみられることがあります。
体力の低下や疲れやすさ、食欲不振、皮膚や髪の乾燥、めまい、筋力低下などを感じていることが多いものです。また、消化器系の不調を伴う場合は、腹痛や下痢、便秘、胸やけなどを訴える方もいます。
体重だけでなく、こうした関連症状があるかを把握することは、原因を調べるうえでも重要です。
体重が減る原因は、幅広く考えられますが、大きく分けると次のようなカテゴリーに分類されます。
日常生活が忙しくなり食事の回数が減った、ストレスや睡眠不足により食欲が低下したなどがあります。また、急激な運動開始や活動量の増加も体重減少の原因となる場合があります。
胃や腸の病気が栄養の吸収を妨げることで、体重が減少することがあります。慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患などがこれに当たります。
甲状腺ホルモンの異常(甲状腺機能亢進症)や糖尿病、慢性感染症、悪性腫瘍(がん)などの病気は、食事量が変わらなくてもエネルギー消費が増えたり、栄養の利用効率が低下したりすることで体重減少を引き起こします。
うつ病や不安障害などの精神的な要因が、食欲低下や体重減少につながることがあります。
これらは代表的な例であり、体重減少の背景には複数の要因が重なっていることが多いものです。
体重が減少している原因を調べるために、まずは基礎的な検査から行います。
初診では、問診に加えて詳細な食事歴、生活習慣、薬の使用状況、家庭環境についてお伺いします。あわせて、体重の変化の時期や関連する症状についても詳しくお聞きします。
代表的な検査には次のようなものがあります
血液検査では、貧血、炎症、栄養状態、甲状腺機能、肝機能、腎機能など全身状態を評価します。
糖尿病や腎臓の状態を調べるうえで役立ちます。
腹部臓器の異常(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など)が評価できます。
上部消化管や大腸に病変がないか、直接観察します。
これらの検査を経て、さらに必要に応じた詳しい検査を行い、原因の特定をめざします。
原因によって治療法は異なります。生活習慣が影響している場合は、栄養指導や食事量の調整、ストレスマネジメント、生活リズムの改善が基本となります。
消化器の病気が原因であれば、炎症を抑える薬や潰瘍治療薬、腸の動きを整える薬などを用います。甲状腺機能異常や内分泌疾患が原因の場合は、ホルモンバランスを整える治療が行われます。
悪性腫瘍(がん)が原因の場合、外科治療や抗がん剤治療、放射線治療など、がん専門の治療計画が必要になります。精神的な要因が背景にある場合は、カウンセリングや精神科的なサポートを含めた治療が効果的なことがあります。
意図しない体重減少を予防するためには、日々の生活習慣を健やかに保つことが重要です。バランスのとれた食事を規則正しく摂り、十分な睡眠と適度な運動を心がけることが基本です。
また、ストレスを溜め込まず、楽しい時間やリラックスする時間を持つことも健康維持に役立ちます。
どのような病気であっても、予防には定期的な健康診断を受けることが効果的です。特に、体重の変化や異常を早期に把握し、必要な対応に速決できるメリットは大きいと考えられます。
体重が意図せず減少している場合、まずはその変化を軽視せずに医療機関を受診することが大切です。特に、短期間で著しい減少がある、倦怠感や発熱、食欲不振、腹痛などの症状を伴う場合には、専門的な検査を受けることをおすすめします。
体重減少は様々な病気のサインであることがあります。早めの受診と検査によって、原因を特定し、適切な対処を進めることが安心と健康につながります。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。